はじめに
みなさんこんにちは!2026年9月28日、Starshipがついに地球周回軌道に乗りました。第3回はこの歴史的なフライトを記念して、最新情報でStarshipを総ざらいします!
第2回が2022年だから、、、4年半ぶりの続きじゃん!
第1回の最後に「一年後に読み返して、昔はこんな仕様だったなぁって懐かしく思ってもらえれば」と書いたのですが、気づけば5年近く経ってしまいました(汗)
この記事では、1段目のブースターをSuper Heavy、2段目の宇宙船をShip、2つを合わせた全体をStarshipと呼びます。SpaceXの正式名称では2段目も「Starship」ですが、区別のため、SpaceXも秒読みなどで使っている通称のShipで統一します。
- Starshipってついに軌道に行ったの?何がすごいの?
- 第1回〜第2回(2021〜2022年)から機体がどう変わったのか知りたい
- ニュースより一歩踏み込んで、Raptorの強みや軌道投入の「なぜ」を数字で知りたい
- 今回の記事のレーティング:
今回は4ページ構成で、1ページ目はV3の機体、2ページ目はRaptor 3の強みの検証、3ページ目はFlight 14、4ページ目は今後の計画・射場・SpaceXのビジネスです。2ページ目の検証は、第1.5回で紹介したΔVや比推力の考え方がベースになっています。
飛行試験の経緯(2023〜2026年)

統合飛行試験は2023年4月に始まり、約3年半で14回飛びました。第1回で「突拍子もない回収方式」「従来方式に戻る可能性もある」と書いた、発射塔の「箸」でブースターを掴む回収は、Flight 5・7・8の3回成功しています。予想は見事に外れました(汗)
箸でロケットを掴むやつ、本当にできちゃったんだ。。。
実物の映像を見たときは声が出ました。2025年前半には3回続けてShipを失いましたが、失敗して、直して、また飛ばす。このサイクルの速さこそがSpaceXの強みです。
機体の概要(Starship V3)
現在飛んでいるのは第3世代のStarship V3(Block 3)です。第1回の諸元とSpaceX公式の最新値を並べてみます。
| 項目 | 第1回(2021年) | V3公式(2026年) |
|---|---|---|
| 全高 | 約120m | 124m |
| 直径 | 9m | 9m |
| Super Heavy 全高 | 約70m | 72m |
| Super Heavy 推進剤 | 約3,800t(満タン時) | 3,650t |
| Super Heavy エンジン | Raptor 29〜33基(バージョンによる) | Raptor 33基(推力計8,240tf) |
| Ship 全高 | 約50m | 52m |
| Ship 推進剤 | 約1,200t | 1,600t |
| Ship エンジン | 6基(→9基に変更と発表) | 6基(海面型3基+真空型3基) |
| ペイロード | 100t以上 | 100t以上(完全再使用時) |


横の発射タワーと並ぶと、どれだけ大きいかよく分かるわよね。
Shipの推進剤が1,200tから1,600tに増えてるね。
軌道上での給油や月・火星への長距離飛行を前提に、Shipはタンクを大きくする方向に進化しています。
1段目:Super Heavy V3

V3ではグリッドフィンを4枚から3枚に減らし、1枚あたり約50%大型化しました。ホットステージング用のリングも機体と一体化され、毎回捨てていた部品がなくなっています(いずれもSpaceX公式)。
フィンを減らしちゃって大丈夫なの?
飛行機の水平尾翼や垂直尾翼と同じで、必要最低限の数にしただけです。迎角がついた状態では下側のフィンはあまり仕事をしないので、廃止されました。
中身も作り直されていて、液体酸素タンクの中を通ってメタンをエンジンへ送る燃料移送管は、Falcon 9の1段目ほどの大きさです。

2段目:Starship(Ship)
Flight 14では、Flight 13で海から回収したShip 40の耐熱タイル2枚を再使用しました。約2万枚のうちの2枚ですが、Starship初のタイル再使用で、完全再使用に向けた大事な一歩です。
エンジン:Raptor 3


V3から1段目・2段目ともにRaptor 3になりました。推力は海面型250tf・真空型275tf、海面型の質量は1,525kgです(SpaceX公式)。
第2回でも言ったけど、やっぱり公表値がブレるじゃん。。。2024年には280tfって言ってなかった?
りなこの言う通り、それは今も変わっていません(笑)。280tfは2024年の発表値で、飛んでいる機体の公称値は250tfです。今回は2026年のSpaceX公式の値を基本にしています。
桁違いに安い製造コスト
Raptorは性能だけでなく、製造コストの安さも際立っています。初期のRaptorは1基あたり約200万ドルでした。マスク氏は2019年に、初期型は100万ドルを大きく下回る見通しで、次の型の目標は25万ドル以下(推力1トンあたり1,000ドル)だと述べています。Raptor 3の実際のコストは公表されていませんが、配管や補機を本体に取り込んで部品を減らしたRaptor 3は、この目標に向けた設計です。
| エンジン | 1基あたりの価格 | 時期・出典 |
|---|---|---|
| Raptor(初期) | 約200万ドル | 2019〜2021年(マスク氏、Isaacson氏の伝記) |
| Raptor(目標) | 25万ドル以下 | 2019年(マスク氏) |
| RD-180(Atlas V) | 約2,340万ドル | 2014年(Reuters) |
| RS-68(Delta IV) | 約2,000万ドル | 2006年(NASA) |
| RS-25(SLS、新規生産) | 約1億ドル以上 | 2020年の契約(SpaceNews) |
従来の大型エンジンと比べると、初期の約200万ドルの時点ですでに約1/10、目標の25万ドルなら約1/100です。1機に39基ものエンジンを積むStarshipは、この安さがあって初めて成り立ちます。
第2回の推定値との比較
| 項目 | 第2回の推定(2022年) | V3公式(2026年) |
|---|---|---|
| 1段 エンジン数 | 31基 | 33基 |
| 1段 推力(1基) | 227t(真空) | 250tf(海面型) |
| 1段 質量 | 初期重量 4,200t | 推進剤だけで3,650t |
| 2段 エンジン数 | 6基 | 6基 |
| 2段 質量 | 初期重量 1,000t | 推進剤だけで1,600t |
| ペイロード | 100t(赤道打ちLEO) | 100t以上 |
1段目はおおむね当たり、2段目は推進剤だけで1,600tと大きく読み違えました。。。それでもShipが重くなった分を1段目の推力強化で補っていて、「100t級」という結論は外れていないので、半分当たりということにしておいてください。























