船舶・設備

【流体力学】風力で時速200キロ。空力の最先端:アメリカズカップヨットとセイルカー

https://www.adonnante.com/media/2013/09/34e-americas-cup-ac72-lv-cup-etnz-vs-luna-rossa-race-02-chris-cameron-358.jpg

こんにちは、本日の話題は“ヨット”です。いきなりですが、America’s cupをご存知でしょうか?

巨大なヨットで戦う世界最高峰のヨットレースでしょ??日本もソフトバンクが参戦しているよね!ネットでしか見たことなけど聞いたことあるよ!

あまり詳しくはないけど名前だけは聞いたことあるな、、、たしかエイドリアン・ニューウェイが設計に参加してたり?

この二人はさすがに詳しいですね(汗)!今日はヨットの仕組み、そしてヨット技術の集大成であるアメリカズカップと世界記録について紹介したいと思います。

ヨットは操縦はもちろん、工学的にも非常に面白い乗り物です。少しでも空力や流体に興味がある方なら楽しいと思うので是非一度近くのハーバーに足を運んでみてください、体験教室などもあって初心者でも安心して遊べますよ!

この記事はこういう人向け

  • アメリカズカップって何??
  • ヨットがどのように進むのか、どれぐらいの性能が発揮できるのか計算を知りたい
  • 今回の記事のマニアック度(解説編):2 out of 5 stars
  • 今回の記事のマニアック度(計算編):4 out of 5 stars

アメリカズカップについて

世界最速最高峰のヨットレース アメリカズカップカップとは

1851年より続く150年以上の歴史を持つ世界最高峰のヨットレース。特徴としては船体の基本形状やレイアウトがレギュレーションで規定されるものの、各チームにはかなり設計の自由度がありボートの戦闘力にチーム差があるため、マシンの開発が勝敗を決める重要な一因になります。

年度により技術レギュレーションは変わりますが、近年は全長20~30m、重量5~7t程度のヨットを使います。また、1チームあたりの人数は6人程度で、これも年やクラスによって変わります。ラダーとセイルの操作が主になる一般的なヨットと比べて、後述するフォイルの操作も行う必要があるため、クルー(乗組員) の負担は非常に高く、メンバーにはオリンピック選手ですら代表に選ばれないぐらい厳しい関門をクリアしたトップエリートが集まっています。

またトヨタ自動車エアバス社等が本格参入しており、最先端の空力技術が投入される、エンジニアリングとしても非常に見応えのある競技です。

ちなみにアメリカと言う名称ですが、国際大会です。アメリカとニュージーランドが圧倒的な強さを保持しています。

1871年大会優勝者:

https://en.wikipedia.org/wiki/Columbia_(1871_yacht)

2021年大会のAC75型:

https://www.sail-world.com/

同じ風を動力としながらも、150年の間に飛躍的に推進効率を高めてきたアメリカズカップヨットは、人類の工学の進化そのものです。

アメリカズカップのヨット

レースで勝つためには練度の高いスキッパー(操縦士)やクルーはもちろん、競争力のあるマシンが不可欠です。それでは、ヨットを速く進ませるためにはどうしたらいいでしょう?エンジンを搭載しないので、パワフルなエンジンを開発する、という安易な手段は使えません。

やっぱりヨットと言っても基本はクルマと同じで、軽くてパワーがあるほうが速いと思うんだぜ、、、より風を捉えるためには帆が大きくないとダメだよな

船体の抵抗も浮力と比例するから、なるべく軽く、炭素繊維複合材料(CFRP)とかで作るんじゃないかな。。。

彼らのの言う通りですね。やはりレースにおいては力こそパワー。軽量化こそジャスティス!なのです。

  • 帆はなるべく大きく:大きな横力でも転覆しない安定性と重心バランス
  • 船体の抵抗はなるべく小さく:軽量、高効率形状、強度の両立

速く進むためにはこれに尽きます。しかし帆は常に風に横の力を受けているため、ただただ軽量な船体に巨大な帆を搭載するだけでは転覆してしまって使い物になりません。

そのため、極限まで軽く、しかし転覆せずに最大限巨大な帆を搭載できる。が条件になります。これを極限まで極めたのがアメリカズカップヨット、通称“ACシリーズ”です。更には、近年ではもはや”フォイリング”が常識となってしまい、超上級者でしか操れないヨットになってしまいました。ACシリーズには大きく分けて単胴船、双胴船があります。またいずれも抵抗が最小限に抑えられるフォイリング船(後述します)です。

双胴船代表のAC72型 :常識を覆しヨット界に革命をもらたした。胴体が存在せず極めて軽量。

https://forums.sailinganarchy.com/

単胴船代表のAC75型:今年から導入された史上最速のヨットで、50ノット以上のスピードが出せる。ほぼ空を飛ぶためヨットと言えるかは怪しい。

https://www.yanmar.com/

強力なエンジン(=莫大な開発資金力)があればライバルを圧倒できていしまう一部の競技とは違って風の力だけを使っていかに速く進むか?自然との戦いになり、これがヨットの最大の魅力だと思います。

フォイリングヨットのスピード

“Foiling” フォイリングとは、Hydrofoil :水中翼によって航行することで、船体から生えた小型の翼で揚力を発生させ船体を浮上させることで大幅に抵抗を減らし、高速を実現します。種子島の高速フェリーなどが有名です。空気でなく水の中に翼を入れて、”飛んでいる”状態ですよね。

https://ja.wikipedia.org/

ACシリーズでも同様の方式を採用し、CFRP製の船体を50ノット以上の速度で航行させます。1万馬力の大出力を持つガスタービンエンジンを搭載する高速フェリーよりも更に速いということになります。また、フォイリング中はバランスを保つために、常にコンピューターが水中翼を微調整して直進を保っています。しかしヨットではレギュレーション上長年大部分のフォイルの昇降を人力で行う必要があり、非常に技術的にも肉体的にも厳しいものとなっています。

ACヨットの大きさ

これほどのスピードを出すためには、巨大な帆が必要です。どれぐらい巨大かと言うと、なんと747の主翼より大きいサイズです。

747より大きいの!?こんな巨大な船体に、旅客機並の大きさの翼をCFRPなんかで作ったら、とんでもない金額になるのでは

建造費は一隻100億円以上かかり、何の動力も搭載しないのに飛び抜けて高額です。こういうところも海のF1と呼ばれる理由の一つです。

ジャンボジェットの翼より大きな帆、ガスタービンを搭載した高速船よりも速いスピード。。。すべてが規格外すぎるというかヨットの概念が覆るな。

造船技術やセーリング技術ではまさに世界最先端のボートであり、エンジニアとしては燃えないわけがないですよね!動いている姿は本当にエンジンがついていないの?と疑ってしまいそうなスピードです。

ヨットの仕組み

最速船がどのように実現されているか、次にヨットの仕組みについて見ていきましょう。

セイルについて

ヨットの推進力を発生させる主要部品:Sail=セイルは人類最古の“翼”です。翼の中には一般的な飛行機のようなフラップ等に頼ることなく、自由に形状を変化させて操縦できるWarping WingMorphing Wing等と呼ばれるタイプがあり、燃費や整備性の利点から21世紀に入ってから盛んに研究されています。ライト兄弟の時代の複葉機にはフラップ等がなく、主翼をねじることで操縦してたため、これもWarping Wingの一種です。セイルはこの種の翼の中でも有史以来存在する最古のものになります。

平板翼の一種であるセイルでは布製で柔軟性を活かして、形状を変化させ、風に対して常に最高の揚力を発生させることができます。最新型のAC75型ではダブルスキン型と呼ばれる二重の平板翼を組み合わせたセイルを用いることで、ほとんどの翼の諸元を調整することが可能となり、幅広い風条件下で高い推進効率を実現しています。

  • 迎角:自由自在に調整可
  • キャンバー:調整可
  • 翼弦長:多少調整可
  • ねじれ:多少調整可
  • 翼厚:調整不可→ダブルスキン型では可能
  • 翼長:調整不可
wikipedia commons

ダブルスキン翼は、翼の主要諸元の中の大部分が調整可のため、最も多用な風向き、風速に対応できる万能翼です。

変形自在な鳥の翼もMorphing Wingの一種で、翼長すらも変形なのなので、最古にして究極の翼と言えるかもしれませんね。 (タービン翼もこんなに自由に変形できたらいいのにうらやましい)

ヨットの操縦方法

ヨットは進行方向とは別に、風の方向も意識しながら、帆に十分な揚力を発生させる必要があります。そのため、“風に対してどの向きに進んでいるか=見なし風向き”、を常に意識しながら操作をします。

進行方向の用語

  • 風に向かって進む:クローズホールド Close Haul
  • 風に対して直角に進む:アビーム Abeam
  • 風下に進む:ランニング Run

帆は左右に自由に動くことができ、常に高い揚抗比の位置へと回転しようとします。そのため、進行方向を決めるためには、帆が気持ちよく揚力を発生させる角度に調整し、自然と船体がそれに合わせた角度に向くようにすることで任意の方向に走らせることができます。

ヨットでは進行方向を変える時以外、舵はあまり使うことはありません。帆の角度を合わせると、自然と進みたい方向に船体が進むためです。

舵の出番となるのは進行方向を変える時、特に風上、あるいは風下に向かって方向転換する場合、です。上の図で言うと、12時の位置と6時の位置になります。

方向転換の用語

  • タック:風上に向かって方向転換する動き。1時~11時(及び逆)方向に回転する動き。
  • ジャイブ:風下に向かって方向転換する動き。5時~7時(及び逆)方向に回転する動き。
  • ヒーリング・ヒール:ヨットを傾かせること、また傾き角度のこと。つまりロールのこと。小型ヨットでは乗組員の移動で、大型ではバラストを移動したり、フォイルの迎角を調整してセイルの横力をバランスさせます。

アメリカズカップの動画で、急激にヨットが方向を変えている場面がありますが、タックという動作になります。ヨットには一人乗りの小型のものから、何十人もで操作する巨大なものまでありますが、ディンギーヨットと呼ばれる遊戯用、競技用のヨットは2人乗りのものが多く、役割が別れています。

ヨットに乗る人

  • スキッパー:メインセイルとラダーの操作、また進行方向を決定します。メインシートとティラーを保持しているため大体両手がふさがっています。キャプテンのことです。次章で各部品について見ていきます。
  • クルー:ジブセイルの操作、進行方向の他船の監視、キールの上げ下げ、各部の微調整、重心調整等、スキッパーが操作できない部分のほとんどを操作します。大きなヨットでは複数人います。乗組員のことです。(高校や大学のヨット部などではまずは丁稚奉公でクルーから始まり、先輩から扱かれます)

ディンギーヨットは乗っている人間で重心を調整しないと、すぐに転覆してしまうため、よくこのように体を乗り出している光景が見られます。

https://www.showaglove.co.jp/tip/case/fifteen

ヨットの各部

代表的な競技ヨットの主要部部品を描いてみました。”ここを操作すれば、ヨットは大体動かせる”という部分になります。

470級の構造

  • メイン:メインセイル。一番大きな帆で推進力の発生源です。
  • ジブ:ジブセイル。メインの前方に位置して、風を導く役割を持つ。推進力に与える影響が非常に大きいため、常に最適な迎角となるように、航行中に微調整をします。
  • スピネーカー:風下に下る時専用に使用する、風を捉えるための帆。風上に進む時は格納します。映画や漫画の海賊船が膨らませている巨大な帆はスピネーカーとほぼ同じ働きです。
  • テルテール:ジブセイルについている毛糸。失速が始まると毛糸がばたつくため、失速直前の最も揚力が大きい角度を狙って調整をします。
  • ラダー:舵。方向転換や姿勢を変える時に使います。前進している時はメインで進行方向を定め、ラダーは補助的な役割のみになります。迎角をつけると抵抗になるためラダーをいかに操作しないか、が早く走るコツのひとつです。
  • キール:横風に流されないように船底に刺さった板です。ヨットはメインとキールの力が均衡して初めて前進することができます。(キールがないと横に流されるだけになってしまいます。)
  • ディラー:ラダーを操作するための棒。エクステンションという延長棒を取り付けて操作するのが一般的です。
  • メインシート:メインセイルの角度を決めるためのロープ。引っ張るとセイルが閉じ、離すと開きます。クローズの時は引けば引くほど加速しますが、風上に向いてしまうため、少し開放して力を逃したり調整ながら最適角度を保ちます。
  • ジブシート:ジブセイルの張り方を調整するためのロープ。クルーが気にするところです。
  • ブーム:メインセイルの下部を支える棒。ジャイブ時に頭をぶつけるので要注意。
  • ブームバング:ブームのテンションを調整するためのロープ。ブームの角度とメインの形状を調整するのに使用します。
  • バテン:メインセイルの中に入っているプラスチック製の板。セイルの剛性を調整するのに使われ、セイルが最適な翼形状を維持するのに大事な役割を果たします。またダブルスキン型セイルではバテンの代わりに柔軟性のあるリブ・ストリンガーが採用されます。
  • ハル・バウ・スターン:それぞれ船体、前側、後ろ側のことです。
  • スターボー・ポート:それぞれ右舷・左舷のことです。
  • マスト:セイルを張るための棒。

ジブセイルの役割は非常に大きく、実際にヨットに乗るとジブで進んでいるのでは?って感じるほど、ジブの張り方が重要になってきます。具体的な役割はアニメーションを観るとイメージしやすいかもしれません。ジブの有り無しでは二倍以上推進力に差が生まれることもあります。

次の章ではイラストを元に、各部に作用する力を見て行きましょう!

ヨットに働く力の計算

空力作用力と抵抗

ヨットの各部に働く抵抗とセイルによる推進力を上からみた模式図です。

ここで空気の作用力と水の作用力それぞれを見てみましょう。理想的にはラダー角はゼロのため、迎角はゼロ、ハルの抵抗と同一として考えます。また水の抵抗と比べると、ハルの抵抗がはるかに大きいため、セイル以外の空気抵抗もハル抵抗として考えます。また船体は常に風の影響で横流れするため、進行方向は中心線とずれてしまい、スリップ角度βとして表現しています。キールにはハルと共に迎角βがついていることになるので、ハルに対しては真直であっても揚力と抗力が発生します。

空気による作用力

    \( \vec{v_h} \)
    進行速度:ハルのベクトル。ハルが実際に進む方向・速度

    \( \vec{v_a} \)
    風速:風向きと風速のベクトル

    \( \vec{v_s} = \vec{v_a}+\vec{v_h}\)
    見なし風: ハルやセイルから見た時の風が当たる方向。進行方向/速度と風向/風速の合算になる

    ① \( L_s = \frac{1}{2} \rho_a CL_s A_s |\vec{v_s}|^2 \)
    セイル揚力:セイル面積A、空気密度 \( \rho_a \)、揚力 係数 \( C_L \) とした場合の揚力

    ② \( d_s = \frac{1}{2} \rho_a Cd_s A_s |\vec{v_s}|^2 \)
    セイル抗力:セイル面積As、空気密度ρ、抗力係数 \( C_d \) とした場合のセイルによる空気抵抗

    \( \alpha \): セイル迎角

    \( \beta \): ハルスリップ角度:ハルの中心線と実際の進行方向の差角。

    \( \theta \): 風とハルの中心線の角度

    \( \xi \) セイル開き角度:セイルとハルの中心線が成す角度

    \( \alpha + \xi \) : 見なし風とハル中心線の成す角度

    ③ \( S_s = L_s \cos( \xi ) + d_s \sin( \xi ) \): セイル横力、揚力と抗力の合力によってハルを横方向に流そうとする力

    ④ \( T_s = L_s \sin ( \xi ) – d_s \cos( \xi ) \):セイル推力、揚力と抗力の合力によってハルを前進させようとする力

水による作用力

    ⑤ \( L_k = \frac{1}{2} \rho_w CL_k A_k |\vec{v_h}|^2 \)
    キール揚力: キール面積Ak、水の密度 \( \rho_w \)、揚力係数 \( C_L \) とした場合のキールの揚力。風横力を抑え、横流れを防止する

    ⑥ \( d_k = \frac{1}{2} \rho_w Cd_k A_k |\vec{v_h}|^2 \)
    キール抗力

力の釣り合い

    ⑦ \( T_s = d_k + d_h \) :推力の釣り合い 

    ⑧ \( S_ s = L_k \):横力の釣り合い

すべての力が釣り合った状態になると、ヨットは一定方向、一定速度で進みます。実際にはロール方向の力もあり、バランスを取る必要があります。またヨー方向にモーメントが発生しますが、ハルのピッチやセイル角度を調整することで重心や空力中心をずらし、うまくバランスを取りながらモーメントを打ち消すような操縦が一般的です。そのため上手に操縦できていればラダーによるモーメント相殺は不要です。もしラダーが必要な場合は、ハル抗力に合算されるものとして考えましょう。

上記の幾何学的関係から、見なし風向きは次のように表現できます。キールのスリップ角やセイル迎角はほぼ揚抗比で決まるため、キールやセイルの性能が決まった時点で、推力と抗力の理論最大値が導けます。

見なし風向きとセイル角度の関係

    ⑨ \( v_h = \frac{(v_s \cos ( \alpha + \xi ) – v_a \cos \theta )}{\cos \beta } \)
    見なし風速と進行速度の関係

    正弦定理より:
    ⑩ \( \frac{ v_a}{ \sin ( \alpha + \xi + \beta )} \)
    \( = \frac{ v_h}{ \sin ( \pi – (\pi – \theta) – (\alpha + \xi))} \)

    \( \cdots \frac{v_h}{v_a} = \frac{\sin ( \theta – \alpha – \xi )}{ \sin ( \alpha + \beta + \xi )} \)

これですべてのベクトルが分かりました。実質的にはθを決めたら、常に最速を発揮できる理想的なセイル角度ξや迎角αが存在することが分かります。また、これらの関係から風速と船体の翼の性能が決まれば、最大速力が計算できます。

速く走るためには

前章の式より速力を上げるためにはより大きな風速が存在するか (これでは自然任せですが) 、あるいは揚抗比が優れるキールとセイルが鍵になることが分かります。

しかしこれだけ限界があります。クローズホールドでは進行速度が速くなればなるほど、見なし風速は速くなる分、揚力の作用方向が進行方向に対して直角に近づいてきます。α=0、β=0、θ=0、そしてξ=0の状態ですので揚力は推進力に変換されなくなり、ヨットは前に進みません。

また、風下へ向かうランニングの場合、風速以上のスピードになると、セイルから見た見なし風速はゼロになるため、それ以上の推進力は発生しなくなってしまい、最高速=風速、となってしまいます。

このように風下に向かう状態では通常では風速以上のスピードを出すことができません。しかし1つだけ、風下に向かってクローズ状態を作る方法があります。下の図で見てみましょう。

このように”風下へ向かっているのにあたかもクローズ状態”、かつ”風速よりも速く進む”ことが可能になります。これの状態を実現するためには、進行速度が風速より速くある必要があるため、揚抗比が優れる翼、抵抗の少ない船体が必要で、通常のハル形状では実現が難しいです。そこで登場するのがフォイリング船になります。

フォイリングについて

Foil、水中翼そのものは一般的な飛行機の翼とほとんど同じです。大きく異る点は、水と空気では密度が1000倍違うことです。そのため、非常にゆっくりとした速度、小さな翼面積でも船体を浮かせることができます。またかかる力が非常に大きいため、鋼製やCFRP製のものが多いです。フォイルと一般的なハルの抵抗の違いは10倍以上になり、圧倒的にフォイルの低抵抗が優れます。

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  1. まき より:

    追記:4章速く走るためには? 最大風速が得られるθは? 項について記事に誤りがあり、修正をさせて頂きました。

  2. […] 【流体力学】風力で時速200キロ。空力の最先端:アメリカズカップヨットとセイルカーヨットの仕組みと世界最速を実現するための空力について解説します。… 【流体力学】風洞の入 […]

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